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第1章ニーズの段階において、顧客は必要性を感じているものの、どのようにすればよいかが明確になっていない状態であることが多い。このため、企業はこうしたニーズを満たすような商品やサービスを提示し、顧客を「これが欲しい」というウォンツに導くことが必要となる。さらに、ウォンツをその商品、サービスの購入に結び付けるためには、顧客にこれらを買えるだけの経済力がなければならない。ウォンツの状態にある顧客に経済力が備わった状態のことをディマンズという。顧客は、予算の範囲内で最も便益をもたらしてくれるものを選択する。企業は、顧客のニーズに対応する商品を開発・提供することによって、顧客満足を獲得し、存続・成長のために必要な利益を上げることができる。しかし、実際には、企業が顧客のニーズを十分に把握できていないことも多い。なぜなら、ニーズは、すべてが顕在化されているものではないからである。顧客のニーズを把握するためには、顧客が漠然と抱いている潜在的なニーズを掘り起こしていくことが必要で、そのためには、顧客データの分析、情報通信技術(ICT)を活用した顧客との密なコミュニケーション、売り場などの現場に定期的に出向くなど、さまざまな側面から顧客を理解することが重要である。企業がマーケティングを実践するためには、このようにして顧客の本質的なニーズを顕在化させたうえで、商品やサービスを提供しなければならない。その結果、企業は顧客満足を獲得し、競争優位性を保つことにつながるのである。図表1−3 シーズとニーズ、ウォンツ、ディマンズシーズ主体企業概要企業の持っている特別な技術、材料、サービスニーズ人間の性質の基本にあるもので、欠乏を感じている状態ニーズを満たす特定の商品やサービスウォンツディマンズ顧客特定の商品やサービスを購入できる経済力が備わった状態(3)ニーズへの対応19

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