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サントリー「ハイボール」流行の変遷ハイボールはカクテルの一種であり、スピリッツ、リキュールなどを、炭酸飲料やフルーツジュースなどアルコールの含まれていない飲料で割ったものである。日本では一般的に、ウイスキーをソーダ水で割ったものを指す。ハイボールの販売を展開するサントリーホールディングス(以下、サントリー)のホームページによると、角ハイボールは「角瓶(ウイスキー)の華やかな香りと甘みをソーダが引き立て、厚みのある飲み口が特長」、トリスハイボールは、「爽やかな香味が引き立ち、角瓶に比べるとより後味がすっきり」としているという。ウイスキーと聞くと、若い世代には顔をしかめる人もいるだろう。「アルコール度数が高くて飲みにくい」、「昭和」、「シニア世代」といったイメージなどが持たれている。サントリー(当時は寿屋)がウイスキー造りに着手したのは1923年、ハイボールの発売は1951年である。ウイスキー販売に苦戦していた同社が、新しい飲み方として、ウイスキーをソーダ割りしたトリスハイボールを、手ごろな価格で売り出した。その後同社は、ハイボールが飲めるトリスバーの全国展開に着手。ハイボールは全国区の人気商品として育っていった。しかしその後、焼酎、ワイン、発泡酒といったアルコール度数の低い商品が注目され、ウイスキー類の販売量は減少の一途をたどった。ウイスキー類の販売は、1983年まで右肩上がりの成長を遂げたが、その後減少基調となり、2007年には1983年のおよそ6分の1の水準にまで落ち込み、風前のともしびであった。それに合わせてハイボールの人気も低迷した。ハイボールが劇的な復活を遂げたのは2008年以降である。その後、再びウイスキー類の販売量は増加に転じている。ハイボールのマーケティング戦略ハイボールの復活は、マーケティング戦略が奏功したためと考えられる。減少基調のハイボールをもう一度盛り上げようと、同社は2008年、社内に「角ハイボールプロジェクト」を立ち上げ、マーケティング戦略をあらためて構築12サントリー「ハイボール」ケース

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