0KG2_A1G3_460
4/12

●第1章した。まず、商品として、コンビニエンスストアやスーパー向けの角ハイボール缶、若い世代をターゲットとしたトリスハイボール缶を開発、家庭でも飲みやすい手ごろな価格を実現した。居酒屋などが量販店で角瓶を購入してハイボールを提供したとしても、ソーダと氷の値段を合わせるとそれなりのコストがかかってしまうため、ハイボール缶はこうした店舗での使用も多い。実際、ビールよりも安く、利益率が高いため、店側が客に勧めたくなるそうだ。流通面では、“高品質のハイボールを提供するハイボール専門店”をコンセプトに、新業態「HIGHBALL…BAR(ハイボール…バー)」を展開。高炭酸でよく冷えたハイボールを提供するため、新たに専用ディスペンサーを導入、「角瓶」に加え「山崎10年」「白州10年」「ザ・マッカラン…ファインオーク12年」など多彩なウイスキーを使った高品質のハイボールを提供した。ハイボールのマーケティングでは、消費者への情報発信にも力を注いだ。「角ハイボール3カ条+1」で表現されたハイボールのおいしい作り方や飲み方を、若者にアピールした。「おいしい角ハイボールの作り方ムービー」も作成し、ホームページ上をはじめとするさまざまな場で、消費者が閲覧できるようにした。また、情報発信力のある全国の1万人以上のブロガーを招待し、ウイスキーの製造工程に関する見学会なども実施。実際に試飲してもらうことで、ハイボールの宣伝を担ってもらった。前述の角ハイボールのおいしい飲み方も、ブロガーによる影響が大きかったと思われる。このように、サントリー「ハイボール」は、効果的なマーケティング施策を実施することで、再び花開かせた事例である。このケースから、商品そのものの魅力に加えて、価格や流通面での工夫、消費者へ商品の魅力をどのようにして伝えるか、といったマーケティングのさまざまな側面を垣間見ることができる。本章では、こうした点をイメージしながら、マーケティングの基本的な考え方や進め方について見ていくことにしよう。13case

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る