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5■3顧客の状態を知るマーケティング活動を実践するために、顧客の心理状態を理解することが重要であることは前項で学習したとおりである。ここでは、マーケティングを理解するために必要となる、ニーズ・欲求・需要の基本コンセプトを確認する。マーケティングにおいて、顧客の求めるモノを総称して「ニーズ」と呼ぶことが通例である。しかし、図表1−1のようにニーズ、ウォンツ、ディマンズを区別する場合もある。基礎となる最も重要なコンセプトは、ニーズである。ニーズとは、「こんなことをしたい」とか「このことが足りずに困っている」などという、人間が感じる必要性である。ニーズは、人間が本来生まれながらにもっているものであって、企業が働きかけてつくれるものではない。ニーズの段階において、顧客は欠乏状態を感じているものの、どうしたいかが明確になっていない(潜在的なニーズの)状態であることも多い。企業は顧客の潜在的なニーズをもとに、「このような商品が欲しい」というウォンツ(欲求)に導く活動が必要となる。ウォンツとはニーズが顕在化された状態であり、人間のもつ文化や価値観などによって形成される。たとえば、食欲というニーズをもった人がいた場合、かつての日本であれば、ご飯に対する欲求として表されることが多かったであろう。アメリカであればパンという形で、イタリアであればパスタという形で表されることが多いであろう。さらに顧客のウォンツが購入に結びつくには、経済力がなければなら第1章 価値創造活動としてのマーケティングニーズ特 徴企業が創造できない性 質人間が感じる必要性寒い、暖まりたい具体例■図表1−1広義にとらえたニーズウォンツ企業が創造できるニーズがもととなった顕在化された欲求電気ストーブ、セーター、ホット・ドリンク、こたつディマンズ経済力を備えた(買うことのできる)需要A社のセーター

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