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ない。その経済力が備わった状況がディマンズ(需要)である。このような、顧客の要求に対応する商品を開発・提供することによって、顧客満足を獲得でき、企業の存続・成長のために必要な利益を上げることができる。しかし実際の企業は、顕在化された欲求へは対応できるが、潜在化している真のニーズには十分に対応できているとはいえない。古典的な例として、かつて娯楽の花形産業であった映画も、テレビなどの普及によって衰退していったことが挙げられる。理由は、顧客の真のニーズは「映画」という商品ではなく、「娯楽」であったからである。そのなかにあって、任天堂は、かつてトランプや花札を中心に製造販売していた京都の中堅企業であったが、娯楽という顧客ニーズをもとにテレビゲームという新分野を開拓し、大きな市場を形成した。以上のことからも、顕在化された欲求は変わりやすいことがわかる。また、顕在化された欲求は競合企業にも容易に把握できるため、競合となる商品も多い。したがって、「企業がマーケティングを実践するためには、顧客の本質的な欲求をつかんだうえで商品を顧客に提供できれば顧客満足を獲得できるし、競争優位性を保つことができる」といえる。■4販売とマーケティングの違い販売は企業が商品とその対価である収益を交換するための行為であり、マーケティングも商品を通じて収益を獲得するための行為である。それでは、販売とマーケティングの違いとは何だろうか。6■図表1−2マーケティング・フロー※「製品と商品」一般に、メーカーが製造して生産段階にあるものを「製品」、卸・小売業が仕入れて販売するものを「商品」と呼んでいることが多い。本テキストでは、いくらメーカーがつくっても、最終的に顧客に購入してもらえなければ価値を生まないという考えのもと、「商品」と統一することにする。なお、商品は形のないものも含み、サービスに加えてヒト(タレント・モデルなど)・場所(京都のような観光地など)・組織(プロ野球やプロサッカーチームなど)・活動(各種の催し物)・アイデア(特許や実用新案など)も含むものとする。ニーズ・ ウォンツ・ ディマンズ 顧客 市場調査 企業 ・ 分析 商品開発 購入 満足 コミュニケ ーション・ 流通 利益

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