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 人間は生まれながらにして競争が好きなようです。競争にはお互いの実力を比べるために共通のモノサシが必要です。例えば陸上や水泳ではコンマ以下何秒のタイムを競いますし、F1などの自動車レースは最高速度が高性能の証しでした。一国の経済活動も同じです。国・地域ごとに共通のモノサシで豊かさを比較することはできないか――。そんな背景から生まれた代表的な指標が、国民経済計算(SNA=System of National Accounts)です。四半期や1年など、一定期間に国・地域全体でどれだけの生産活動が行われたかを示しています。本章ではGDP(国内総生産)を具体的にどのように算出しているかを見ていきましょう。020付加価値付加価値300万円万円付加価値付加価値400万円原材料費原材料費700万円原材料費原材料費300万円製粉会社製粉会社パン工場パン工場パ ンパ ン1000万円付加価値付加価値300万円小麦粉小麦粉700万円付加価値付加価値合計合計1000万円小麦小麦300日本経済入門 I -- 3GDPはどう算出するのか?回る経済 GDPを一つの舞台に例えてみましょう。この舞台で経済活動を演じる「役者」は家計(個人)、企業、政府の3人です。具体的には3人の間でヒト、モノ、カネが流れることで、私たちの生活が日々成り立っているわけです。では3人はどのような役割を演じているのでしょうか。 図I-3-1を見てみましょう。家計は労働(ヒト)、土地(モノ)、資本(カネ)の生産要素を企業に提供し、賃金、地代、利子を企業から受け取っています。こうした所得は企業から商品・サービスを購入する代金や、政府に税金を納めるために使われます。一番分かりやすいのは、サラリーマンが会社で仕事をして給料をもらい、その給料で生活と納税をして農 家農 家いることでしょう。

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