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010嶺は何でしょうか。それは、「人気」と言えるのではないでしょうか。 たくさんの女性がインターネットの生放送サービスでトークや歌などを披露しています。ほとんどは素人で単なる趣味の領域を脱していませんが、ファンが増え人気が高まれば、タレント事務所やレコード会社といった「企業」が目を付けます。企業は女性をアーティストとして売り出し、CDやDVDといった商品を販売します。その商品は、CDショップなどの「市場」に並び、ファンがお金と交換して手に入れます。 つまり、歌うという行為に人気が加わることで、お金に替えられる付加価値を生む経済活動となるのです。 「寝る」という行為は通常、当たり前ですが、お金を生みません。しかし、世の中には、大好きなAさんが寝ている姿であればお金を出してでも見ていたい、と思う物好きがいるかもしれません。寝るという、一見すると「生産」や「労働」とは懸け離れた行為であっても、そこに人気が介在すれば、経済活動になり得るのです。 経済とは、モノやサービスの人気をお金に換える仕組みである̶̶。そう考えることが、経済を知る初歩と言えるでしょう。 日本経済入門価格は「需要」と「供給」のバランスで決まる さらに、人気は価格のみならず株価、為替といった経済の基礎となるあらゆる指標を左右します。一般的な経済学の教科書では、あるモノやサービスの価格は「需要」と「供給」のバランスで決まると説明します。 需要は購入者側の論理で、価格が低いほど購入意欲が高まり、必要とされる数量も増えるというシンプルな話です。これを縦軸に価格、横軸に数量を取ったグラフにすると、需要は右肩下がりの曲線で表現できます。供給は生産者側の論理で、価格が高いほど生産意欲が上がり、作ろうとする数量も増えるというシンプルな話です。これを同じグラフにはめると、供給は右肩上がりの曲線で表現できます。 この需要曲線と供給曲線の交わる点こそが、需要と供給のバランスが一致するポイントであり、これで価格が決まります。交点は、価格の観

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