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1968年以来、日本は米国に次ぐ「世界第2位の経済大国」という立場を維持してきました。ところが、バブル経済の崩壊から約20年が経った2010年、日本は世界3位に滑り落ちました。経済成長著しい中国がGDP(国内総生産)の大きさで日本を上回ったからです。そればかりではありません。わずか3年経った2013年、米ドル換算ながら中国のGDPは日本のGDPの2倍近くにまで膨れ上がりました。短期間にこれだけ大きな差が開いたのはなぜでしょうか。GDPの中身を知れば、「失われた20年」の間に世界経済の勢力図がどのように変わってきたのかが分かります。0148%2064-2-4-61980年852000909505101519日本経済入門 I -- 2 なぜ「失われた20年」と呼ばれるようになったのか一国が1年間に稼いだお金の合計:GDP GDPは、Gross Domestic Productの頭文字を取ったものです。端的に言えば、その国に住む人々が1年間に生み出したモノやサービス(付加価値)などの合計となります。GDPはその国の経済状況を包括的に知る上で最も重要な統計で、経済政策を立案・運営するためにも欠かせない指標となっています。 図I-2-1では、1980年以降の日本、中国、米国そしてインドの名目GDPを示しました。株価や不動産価格が高騰した80年代後半は「バブル景気」と呼ばれ、日本のGDPは右肩上がりで伸びました。 ところが90年頃にバブルが崩壊すると経済成長率が大きく鈍化し、マイナスを記録することもありました(詳細は図I-2-2を参照)。銀行の不良債権処理がなかなか進まず、経済が停滞した90年代は「失われた10年」
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