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ん。そして、分析結果が誤っていれば、よい成果を得ることは難しいといわざるを得ません。また、部下に調査や分析を指示した場合、その結果に漏れや重複がないかを確認し、それらがあれば指摘して修正を指示する必要があります。 このように、漏れや重複がないことをMECEといいます。MECEは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字からなる言葉で、「重複がなく、かつ漏れがないこと」をいいます。MECEは、「ミーシー」または「ミッシー」などと読みます。 MECEは、その意味からもわかるように、複数の要素を網羅的に整理・分析する場合に必要となる考え方です。マネジャーは、自ら目標達成のための戦略を考える際には、必ず、自身の考えがMECEとなっているかを自問しなければなりません。 ただし、MECEを網羅的かつ厳密に行おうとすると、膨大な時間や手間がかかってしまいますし、ビジネス上の判断に必ずしも直接は必要がない細かすぎる情報が混在することにもなります。したがって、とくに漏れがないかを検討する際には、あらかじめ決めた時間で考え得る漏れを出せるだけ出したら、いったんそこで重複のチェックをするなどの工夫が必要です。 また、2節2-3「自社と市場・競合との関係からビジネスチャンスを見出すためのフレームワーク」などで説明している戦略策定のための様々なフレームワークは、切り口がMECEになっていますので、これらを上手に活用することも効率的です。 MECEは、論理的思考の基本であり、これから紹介する様々なツールやフレームワークを用いて戦略を分析する際の考え方の基本となります。 1-3 抽象から具体へと論理展開して個々の業務に落とし込む 上司から課せられる業績目標は、その内容が抽象的であったり、または具体的な数値目標が示されていたりしても、どのようにそれを実現するかをマネジャーに任されていることが一般的です。抽象的な事象を論理展開して具体的な事項に落とし込むことが求められます。抽象から具体へと論理展開する際に利用できるツールがロジックツリー(Logic tree)です。 ロジックツリーは、「ツリー」とあることからもわかるように論理を樹形図で示します。 左に上位概念(これを「イシュー(Issue)」と呼びます)を置き、右に行くに従って個別・具体的に展開していきます。イシューから展開された項目は「ボックス」と呼びます。ツリーの同じレベルに位置するボックスは、相互にMECEとなるようにします。

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