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マネジャーは、これらのリスクを管理しつつ日常業務を進めていかなければなりません。 しかし、注意しなければならないことは、マネジャーが実施しなければならないリスクマネジメントは、このような平常時におけるものに限られないということです。 自然災害や事件・事故など、日常業務とは直接関連しない事象に起因して、事業または業務の継続が困難な状況に陥った場合、マネジャーは、その状況を把握して事業・業務の再開・継続に向けてマネジメントをします。 また、前述の平常時におけるリスクマネジメントにもかかわらず、リスクが顕在化してトラブルが発生し企業に損失等が生じてしまった場合には、平常時とは異なるリスクの管理、すなわち「緊急時」のリスクマネジメントが必要となります。 5-1 平常時におけるリスクマネジメントの実践 マネジャーは、日常業務を遂行する上でも常にリスクを意識し、リスクが顕在化してトラブルが生じることのないよう注意する必要があります。これを平常時におけるリスクマネジメントと呼ぶことは前述しましたが、これはリスクの予防保全と呼ぶこともできます。 ここでは、マネジャーがリスクの予防保全を図りながら自己の組織を管理するのに役立つ考え方や仕事の進め方、部下への接し方などを、第2部「人と組織のマネジメント」や第3部「業務のマネジメント」で述べた考え方や手法を用いて、その応用編として紹介します。 (1) マネジャー自身のマネジメントの場面 第2部「人と組織のマネジメント」では、マネジャー自身のマネジメントの中で、マネジャーに必要な4軸の役割を紹介しましたが(第1章3節3-2「マネジャー自身の成長を促す『4つの軸』」参照)、その中にあるマネジャーの「船長」としての役割を思い出してください。 マネジャーは、自分自身が何とかしなければ部下の安全(部下の生活)が危ぶまれるのだという認識を持つことによって、真剣に取り組むようになります。「見るだけ、聞くだけ、学ぶだけ」ではなく、「実行すること」が必要不可欠です。 また、問題が起きたときには、たとえどれだけ時間がかかっても真の原因がわかるまでとことん探究するという「設計者」の姿勢が必要です。 さらに、マネジャーは、部下の仕事への取り組みや姿勢を正し、自ら部下に手本を示すこと、普段の自分を省みること、部下は自分の鏡であることを自覚することなど「指

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