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コンピテンシー(Competency) 評価基準を明確化する場合には、すべての部下にその内容を理解させておく必要があります。部下は、自己がどのような基準で評価されるのかを理解することにより、なすべき行動が明確になるとともに、自己の評価についてマネジャーからフィードバックされた際に、評価の根拠に対する納得性が高まります。 高い業績を上げるための行動を明示し、そのような行動が見られるかどうかを評価するために「コンピテンシー(Competency)」が用いられることがあります。コンピテンシーとは、高いレベルの業績を安定的・継続的に上げている人に共通してみられる特徴的な行動特性をいいます。単なる知識や資格、偏差値にとどまらず、成果につながる特徴的な行動です。こうした特徴的な行動を具体的に拾い上げ・分析し、それを集積したものを、その企業あるいは職種の人事考課における行動基準や評価基準とするものです。 コンピテンシーは、企業・職種によっても異なるものであり、各々の目的や戦略との整合性を図りながら設定する必要があります。 コンピテンシーを用いると、部下の能力を評価するための具体的行動が明示されるため、部下としては、仕事をする上で、具体的にどのような行動をとればよいか明確にイメージできます。 (3) 部下の評価に予断は禁物 マネジャーには、自分のチームに属する部下の能力や技量、性格についての情報や評価が必要となります。新たに自己のチームに部下が配属される場合や、新しいプロジェクト・チームの人選にあたっては、とくに気になるところです。 その企業・団体によって異なるものの、一般的には人事記録により、ある程度の人物評価は可能でしょう。さらには、部下の同僚や、元上司などからも評価資料が上がってくるかもしれません。 しかし、それらの評価も1つの資料であって、判断の手掛かりにはなり得ても、確定した評価と考えるべきではありません。やはり、最終的には、自分の目で責任を持って判断するという姿勢が大切です。とくに、前任者の、その部下に対する評価が著しく低い場合や、逆に高い場合は、慎重かつ冷静に部下の評価をしなければなりません。極端な評価の場合は、評価者自身にも問題があることが多いのが実情です。例えば、部下と前任のマネジャーとの性格上の不一致があったり、個人的な癒着を前提に、人物評価がCOLUMN

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