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生のまま冷凍する。油を使って炒める。せっかく野菜を食べるなら、体に良い成分は無駄なく吸収したいもの。調理のコツを聞きました。撮影・武方賢治、岩本慶三(佐藤さん) 文・一澤ひらり冷凍することで細胞の水の体積が増え、細胞壁が壊されるので、で細胞壁が壊れる。空気に触れそのままスープや味噌汁に。解凍しないで使うのがコツ。ミキサーなどで細かくすることることでビタミンCは酸化されるが、体内での効力は変わらない。の吸収率は格段にアップする。熱を加えれば細胞壁は壊される。ことに脂溶性ビタミンを含む野菜は炒め物のほうが、ビタミン食材の特性を知り、工夫すれば、栄養価は各段に高くなるんです。加熱する、刻む、冷凍する。野菜は細胞壁を壊す調理法がカギ。野菜のビタミンを逃さない、調理法と組み合わせ。野菜を食べて栄養吸収率を高める上でまさに“壁”になるのが細胞壁。野菜の細胞はセルロースなどでできた細胞壁で囲まれていて、これは人間の消化酵素では分解できないのだ。「野菜の栄養素は細胞壁の内側にありますから、“壁”を破壊しないと栄養素を吸収できません。咀嚼や胃液で一部は破壊できますが、中の栄養素を効率よく取り出すための一番の方法は、調理することなんです」野菜の栄養素を逃さず食べ切る基本2 食べ物から無駄なく、効率よく栄養を摂ることは、私たちが健康に暮らすためのキーポイント。「そのためには食材や栄養素の特性を踏まえ、最適な方法で食べたいものです。調理法や食品の組み合わせを工夫すれば、体内に摂り入れられる栄養価は格段に高くなります」と食物学学術博士、栄養士の佐藤秀美さん。は、加熱調理で細胞壁を壊して栄養素が出やすいようにしてやること。炒める、蒸す、茹でるなどの方法があるが、茹でれば水に溶け出す成分もあるので、ブロッコリー、アスパラガスなどアクの少ない野菜は、蒸すか電子レンジで加熱するほうが栄養素の損失は少ない。生野菜を食べるのはヘルシーなイメージがあるけれど、栄養吸収の観点では賢い食べ方とはいえないようだ。「生野菜で栄養素の吸収を高めることを考えるならば、自家製の野菜ジューたとえばビタミンC。熱に弱いとよくいわれるが、実は熱で分解されるのは190℃を超えてから。茹でれば水の最高温度は100℃だから、ビタミンCは壊れるのではなく、水中に溶け出していたのだ。「ですから私は野菜の茹で汁は捨てません。スープにしたり味噌汁にすれば、栄養を無駄なく摂ることができます。子どもからはケチケチ大作戦って言われていますけど(笑)」また、かつては調理過程でビタミンCが酸化されると効力がなくなるといわれたが、いまでは還元型、酸化型のどちらでも、体内に入れば効力に変わりはないことが確認されている。正しい知識を身につけて、野菜から合理的にビタミンを取り込もう。細かくしてジュースに。さとう・ひでみ 細胞壁を壊すには、こんな調理法で。佐藤秀美さん学術博士(食物学)、栄養士。日本獣医生命科学大学客員教授。著書に『栄養「こつ」の科学』『おいしさをつくる「熱」の科学』など。

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