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logos(psyche)とロゴス(の教育』という本でした。この本を読み、それまで私は子育てについて何も知らないまま子どもと接していたことに気づきました。親に育てられたからといって、子どもを育てられるわけではないのです。手強い子どもと日々関わる中で、アドラーの著書を次々に読みました。やがて、もともと古代ギリシア哲学を研究していた私が、アドラーの著書の翻訳に取り組むようになったのは、アドラーの考えを知ることで子どもとの関係がよくなったことを強く実感したので、多くの人にアドラーの考えを知ってほしいと考えたからでした。哲学者である私が心理学の研究をしていることを不思議に思う人がありますが、心理学はもともと哲学から発したものなのです。心理学は英語ではpsychologyといいますが、これはもともとプシューケー(精神、心)の理論」という意味です。ソクラテスは、この「魂(精神、心)」をできるだけ優れたものにすることを「魂の世話」といっています。英語のサイコセラピー(psychotherapy、心理療法)は、ギリシア語の「魂(psyche)の世話(therapeia精神科医かカウンセラーになっていたかもしれません。アドラーの息子で精神科医のクルト・アドラーは、父は、「肘掛け椅子にすわり観念だけを追い求めるインテリとは正反対の存在であった」といっています(ホフマン『アドラーの生涯』)。)というギリシア語を組み合わせてできた言葉で「魂)」に由来しています。もしもソクラテスが現代に生まれていたら、6

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