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ポ6ジティブにいこう。そんなふうに言われることが多い。では、なぜ物事をポジティブに考えることが大事なのか。それは、私たちが自由にコントロールできるのが認知の世界だからである。認知の世界というのは、物事をどう受け止めるかという心の世界のことである。私たちは、客観的な出来事の世界を生きているのではない。主観的な意味の世界を生きているのである。このことをもう少し具体的に見ていくことにしたい。仕事でうっかりした失敗をしたことに対して、上司からきつい言い方で叱られたとする。それに対して、「そんな言い方をしなくたっていいじゃないか、こっちだってわざと失敗してるんじゃないんだから」と思えば、むかついてきて、反発心が湧いてくる。だが、「きつい言い方だなあ、でもあの失敗はまずいな、気をつけなくちゃ」と思えば、平静さを保てるし、どんなことに気をつけなければならないかを冷静に頭に刻むことができる。上司がきつい叱り方をしたという客観的な事実は同じでも、それを主観的にどう意味づけるかによって、心の反応も、その後の行動も違ってくる。不快感に駆られて反発すれば、やる気がなくなり、自分の成績にも悪影響があるし、上司との関係も悪化するかもしれない。感情的にならず冷静に受け止めれば、同じような失敗を繰り返さないように行動の修正ができ、仕事力を高めることができる。さらにここで重要なのは、上司のものの言い方はこちらがコントロールすることはできないが、こちらの受け止め方は自分でコントロールできるということだ。だからこそ、ポジティブ思考が大切になるのである。もうひとつ例をあげて考えてみよう。必死になって営業をして回ったつもりなのに、月間の販売ノルマを達成できない月が続いたとする。そのようなときに、「こんな景気の悪いときに売れるわけないじゃないか」と思う人は、やる気をなくしていく。一方、

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