1IAL0-01-0001
10/10
10ケース1(1)小さいことでよいから新しい課題に取り組ませる前項のような話し合いを通じて、荒牧さんは、完全な納得はできないまでも、多少なりとも仕事に対する姿勢を考え直す可能性が出てくるはずです。お互いの考えや意見を率直に伝え合うことで、相手の言うことを聞く余地が生まれるのです。こうしたやりとりを経ずに、一方的に相手を変えようとしてもうまくいきません。そして、多少でも本人の理解が得られ始めたら、そこがチャンスです。次のステップとして、新しい課題を与えましょう。ただし、荒牧さんのように、これまで受け身の姿勢で指示された仕事に取り組んできた人は、いきなり「何か新しいことをやってください」と指示されても途方に暮れてしまいます。相手の能力や意向も踏まえて指導者がある程度のお膳立てをし、その上で小さなことでも構わないので本人に自主的にチャレンジさせていくように導きましょう。例えば、○○業務の効率化、既存の研修プログラムの改定案の立案、○○業務のマニュアル化などです。(2)成功体験を積ませる課題を与える際、その難易度の設定は重要です。簡単すぎても駄目、難しすぎても駄目です。本人の能力を踏まえて適切な難易度の課題や目標を与えることが、相手のやる気を引き出すポイントになります。そして、それが本人の成長につながるのです。「失敗は成功の母である」という考え方も正論ですが、「成功が次のチャレンジにつながる」という考え方もあります。新たな課題へのチャレンジに対しては、基本的には失敗で終わらせず、成功体験を積ませて本人の自信や意欲を引き出したいところです。自己効力感という心理学の言葉があります。「自分にはある目標を達成する能力があるという認知」のことを指します。簡単にいえば2新しい課題にチャレンジさせる
元のページ
../index.html#10