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ればノーベル賞ものだ」はなぜ眠るのか。実はそのメカニズムはよく分かっていない。解明でき前出の教授によれば、われわれにとって身近な睡眠は、今もなお多くの謎に包まれている。教授は1998年に、睡眠の謎を解く手掛かりとなる重要な物質を発見した。オレキシンだ。睡眠と覚醒という二つの状態は、シーソーのような関係にある。どちらの状態になるかに大きな役割を果たすのが、この物質だ。上図で示したように、睡眠状態は、睡眠中枢が覚醒中枢やオレキシンを抑制してつくり出される。一方で、覚醒状態は、オレキシンが覚醒中枢を活性化し、覚醒中枢が睡眠中枢を抑制することでつくり出される。オレキシンを活性化させる要素は三つある。栄養状態(空腹かどうか)、情動(激しい感情)、そして体内時計だ。空腹になると血糖値が下がり、オレキシンが活性化して脳が覚醒する。狩猟時代から、空腹時は食料を確保するために覚醒している必要があったのだ。また、激しい感情を抱くときにもオレキシンが活性化される。情動をもたらす脳内の扁桃体が、強い感情を非常事抑制抑制8時体内時計睡眠負債(朝の日光を浴びると分泌停止)12時10時7時6時朝食起床メラトニン大脳視床下部小脳覚醒中枢脳幹16時日中の眠い時間帯睡眠中枢14時昼食睡眠状態 「人8と睡眠負債を軸に、睡眠と覚醒の状態を決めるメカニズムに迫る。睡眠中枢オレキシン覚醒中枢メカニズムいまだ謎の多い睡眠について、最新脳科学の研究が進む。体内時計
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