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態だと判断するのである。もう一つ、睡眠・覚醒状態に大きな影響を与えているのが、体内時計と睡眠負債のバランスだ。体内時計は24時間前後のサイクルを持ち、メラトニンやコルチゾールなどのホルモンを分泌することで、睡眠と覚醒を制御している。オレキシンも体内時計によって制御されている。体内時計の生体リズムは起床から約4時間後に1度目の覚醒のピークを迎え、約8時間後に停滞する。そして14時間後に再びピークを迎える。一方、4~5㌻で説明したように、人は覚醒すると、睡眠負債が増えていく。体内時計と睡眠負債がせめぎ合うことで、睡眠と覚醒のスイッチが切り替わる。例えば、体内時計の生体リズムが停滞する昼すぎの時間帯は、睡眠負債による疲れが上回るため、眠くなるのである。十分な睡眠を取らないと、睡眠負債がしっかり減らずにどんどん蓄積していくため、慢性的な眠気に悩まされるようになる。このように、睡眠と覚醒という二つの状態は、複合的な要素から働き掛けを受けており、極めて複雑なのだ。いまだ知られていないことが多い睡眠だが、最新の研究成果が、謎を徐々に解明しつつある。(起床の約3時間前から分泌開始)(就寝から約30~60分後に分泌開始)(夜になると分泌量が増加)活性化抑制20時夕食23時22時21時就寝メラトニン眠りに誘う作用を持つ。夜になると分泌量が増える。朝になって脳に日光が届くと分泌が止まり、一日のスタートを知らせる。18時07/01号 P036-0.7 図版サイズ W:390×H:193.259イラストレーターCS5 オーバープリント 未処理 岡本(激しい感情)体内時計現在の研究では、脳内にある〝時計〞からのシグナルは、視床下部を通して、間接的にオレキシンを活性化させている説が有力。6時4時コルチゾールストレスに反応して分泌される。起床の約3時間前から分泌が始まり、血圧や血糖値を上げて、朝スッキリ目覚める準備を整える。情動危険が迫っているときや、うれしいことが起きているとき、扁桃体を通して喜怒哀楽は増幅される。その情報がオレキシンを刺激する。空腹時には血糖値が下がる。この変化は脳脊髄中の血糖値も下げ、オレキシンの働きを活性化させる。満腹時は逆に。3時2時栄養状態0時成長ホルモン体内の物質をエネルギーとして使える物質に変える働きがある。入眠して、約30~60分後に分泌が始まる。オレキシンを活性化させる三大要素覚醒状態睡眠中枢オレキシン覚醒中枢 最新脳科学で見えてきた睡眠と覚醒の
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